水害から町を守る(畳堤)

更新日:2025年03月31日

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揖保川の特殊堤防畳堤(いぼがわのとくしゅていぼうたたみてい)

川沿いに設置された橋の欄干のような形をした黒色の特殊堤防畳堤の写真

兵庫県西部を流れる日本有数の暴(あば)れ川として有名な揖保川の緊急時の防災対策として、40年以上も前に考えられた特殊な堤防です。普通の土石・コンクリートなどでできた堤防とは違い、一見、橋の欄干のように見えるフレームが並び、川の景観を損ねません。住民の意見が反映された環境への配慮と、住民の防災自治の意識の高さが実を結んだ堤防といえます。

なぜ普通の堤防と違うのか?

そこ幅が広い台形型に土を盛ったのが一般的な堤防の形です(図1)。畳堤が造られた地域は川から住宅までの距離が大変短く、土手が造れないのでコンクリート壁を堤防の上に造りました。このような堤防を特殊堤といいますが特殊堤の場合通常は、コンクリート壁になるところ揖保川では、畳を差し込む枠だけの欄干のような堤防です。地域の自治意識は高く、万一の時は住民の手で畳を持ち寄り、堤として機能させます(図2)。

そこ幅が広い台形型に土を盛った通常の堤防と、コンクリート壁を堤防の上に造った特殊堤の比較図

もし畳堤がコンクリートを立ち上げただけの堤防だったら…?

揖保川の美しい景観は損なわれ、暗く圧迫感を感じる堤防になっていたことがシュミレーション写真を見るとよく分かります。

川と住宅地の間を通る道路に一本の木が立つ川沿いに設置された畳堤と、コンクリートを立ち上げただけの堤防を比較したシュミレーションの写真

畳堤になったいきさつ

昭和22年(1947)、龍野市龍野町長末広氏より特殊堤(パラペット)設置の提案が出されました。当時、姫路工事事務所長だった玉井正彰氏、工事主任の藤原玉造氏らが長良川の畳堤を見学するなどして、特殊堤でしたが「普段は揖保川が眺められるように枠だけにしてほしい。防災はみんなで行うもの、洪水の時は自分たちも畳を入れて協力する」という周辺住民らのたっての要望により、現在の畳堤となりました。

揖保川の畳堤のある箇所

たつの市の河川概要と、揖保川の畳堤のある箇所が赤色で示された流域マップ
揖保川の畳堤のある箇所が赤色で示された流域マップ

  • 龍野町2721.0メートル
  • 揖保川町253.4メートル
  • 御津町159.0メートル

総延長 3100メートル余

たつの市龍野町

住宅が建つ手前にかかる畳堤が設置された旭橋の写真
左奥に建物や揖保川にかかる橋が見える手前に、片側一車線の道路の川沿いに畳堤が設置された柳原付近の写真

たつの市揖保川町

木が生え草が育った堤防に畳堤が設置された揖保川橋梁下流付近の写真
大きな橋がかかる揖保川沿いの細い道路に畳堤が設置された正条付近の写真

資料引用

国土交通省近畿地方整備局姫路河川国道事務所
パンフレット「話そうはりま・揖保川の特殊堤防 畳堤」

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